事務局メンバーによる、OpenID関連のあれやこれや
OpenID FoundationとSIDI Hubは、今年のIdentiverseカンファレンスにおいて「Building a Digital Commons for Identity」というテーマで発表を行いました。このセッションでは、 Sustainable and Interoperable Digital Identity Hub project(SIDI Hub)によってこれまでに達成された成果を紹介しました。このプロジェクトは、安全で相互運用可能なデジタルIDシステムを推進するためのグローバルな取り組みです。
SIDI Hubの共同主催者および共同資金提供者として、OpenID Foundationは、電話、メール、パスポートが国際的にシームレスに機能するのと同じように、デジタルIDの国境を越えた相互運用性を実現するための中心的な役割を果たしてきました。
Identiverseのステージでは、OIDFのエグゼクティブディレクターであるGail Hodges氏が、OIDFの戦略・マーケティングディレクターでありSIDI HubのプログラムリードでもあるElizabeth Garber氏と共に登壇し、SIDI Hubがわずか18か月で45か国以上、25以上の組織にまたがる動きへと成長した経緯を共有しました。
セッション中にGail Hodges氏が説明したように、主要な課題は、すでに30以上の国が国家デジタルIDシステムを導入しており、Judge School of Businessによるとさらに30の国が導入を計画していることです。しかし、電話ネットワーク、メール、パスポートといったグローバルな通信技術とは異なり、これらのデジタルIDは本質的に相互運用性を持っていません。
この点を問題視し、相互運用性を戦略的優先事項として扱うべきだというコンセンサスが、グローバルで広がっています。
しかし、これを実現するには政策の調整だけでは不十分です。国際協調的な動きと共有インフラを通じて具体的な技術的およびガバナンスの成果物が必要です。SIDI Hubはこの行動を促進するために存在しています。
これまでに、SIDI Hubは非営利団体、学術機関、国際政府機関(IGO)、開発組織、政府、民間企業を含む公共および民間部門の組織からの関与を促進してきました。
また、2023年以降、SIDI Hubは4大陸で6回の主要な会議を開催しており、次世代のデジタルアイデンティティシステムの信頼と相互運用性を構築するための真にグローバルな取り組みとなっています。
SIDI Hubの取り組みは、確立された原則に沿って構築され、安全で相互運用可能なデジタルアイデンティティシステムの必要性を推進するいくつかの国際的なイニシアチブ(先導的な取り組み)を支援するよう構築されています。これには以下が含まれます:
これらの主要な国際的優先事項と整合性がとれているということは、早急な対応が必要であることの共通認識を生み出す助けとなっています。
Elizabeth Garberは、SIDI Hubの設立以来の重要な成果を強調しました。主な成果の一つは、様々な国際的なガイドラインや推奨事項からのオーバーレイを組み込んだ、10の国内信頼フレームワークの詳細なマッピングです。これらの国際政府機関(IGO)からのオーバーレイには、FATFデジタルアイデンティティガイドライン、OECDデジタルアイデンティティ推奨事項、UNDPの法的デジタルID Frameworkが含まれます。
このマッピングは、異なる管轄区域にわたるアイデンティティシステムの包括的な理解の確立に役立ち、管轄区域がどのように政策ごとに信頼フレームワークを階層化し、それらの政策が管轄区域内および管轄区域間で実装者によって「翻訳」可能となることを確保できるかについての洞察を提供しています。SIDI Hubはすでに、以下の「5 Things We're Learning」のような多くの優れた洞察を達成しています。
さらに、SIDI Hubは35以上の潜在的な国境を越えたユースケースの評価を実施し、「チャンピオン」イニシアチブとして特定された3つの重要分野に重点を置いています。これらには以下が含まれます:
SIDI Hubコミュニティは、政府代表者と開発組織の強力な支援を受けて、3つの新しいチャンピオンユースケースの詳細化を進めています:
さらに、SIDI HubはOpenID財団のGAIN POCコミュニティグループの優れた取り組みを基盤として、技術システムがどのように管轄区域を超えて連携できるかを実証するための参照アーキテクチャと概念実証の範囲設定を開発しています。
この取り組みの規模にもかかわらず、この活動は驚くほど小さな予算で実施されてきました。これが可能になったのは、ボランティア貢献者の情熱と専門知識、そしてOpenID Foundationを含む資金提供者とパートナーの連合からの支援のおかげです。その他には以下が含まれます:
ドイツ政府、日本政府、ID4Africa、Better Identity Coalitionなどの政府や連合からの現物支援(サービスや施設などの提供による支援)。
SIDI Hubの勢いはますます高まっています。デジタルアイデンティティに取り組む政策立案者、技術者、研究者、または提唱者であれば、SIDI Hubはあなたの声を歓迎します。
Identiverseのプレゼンテーション全体はこちらでご覧いただけます。または、詳細についてはSIDI Hubのサイトをご覧ください:
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