OpenID ファウンデーション・ジャパン

AIのアイデンティティ管理について話し合いましょう

By tshibata | 2025年07月01日

共同議長:Atul Tulshibagwale(SGNL)、Tobin South(WorkOSおよびスタンフォード)、Jeff Lombardo(AWS

先日終了したIdentiverseカンファレンスにおいて、AWSのJeff Lombardo氏の提案により、参加者の数名がAIに関連するさまざまなセキュリティ提案について議論するために集まりました。

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これまで、AIとアイデンティティのコミュニティは、個別に発展してきました。このような断絶は、プライバシー、セキュリティ、相互運用性に関する既知の落とし穴を繰り返すリスクがあり、安全で信頼できるAIの展開を加速できるはずの重要な標準の採用を遅らせる可能性があります。既存の標準は、特に権限の委譲、エージェント認証、エージェント間の認可の伝播と委任、およびエージェントの発見とガバナンスに関して、AIエージェントの新たなニーズを部分的にしかカバーしていません。

私たちは、急速に変化する状況に関して議論するための適切なフォーラムが必要であることを認識しました。そこでは、OAuth 2.0のような既存の標準がAIコミュニティの検討を加速するのに役立ち、どのユースケースが重要なパスであるか、そしてAIとアイデンティティ管理が交わる新しい領域において現在のデファクトスタンダードと各種標準のギャップを埋める方法について話し合うことができます。

OpenID Foundationコミュニティグループを作るというアイデアは、単一の標準化団体で主導権を握るという意図ではなく、すでに行われている会話を持ち寄り、それらをさらに進展させる議論をどこでするかを整理するための信頼性の高いオープンなフォーラムとして生まれました。そのため、これらの会話から生まれる議論と成果物は、AIとアイデンティティのフォーラムにおいて、またデファクトスタンダードの取り組みやOIDFなどのオープン標準化団体内で進展している、共有ロードマップと成果物につながるべきであることが合意されました。

私たちは共に、アイデンティティ専門家の知見を活用しながら、既知の落とし穴を回避し、「安全な牧草地(危険や問題のない安全な場所)」への共有パスを見つけつつ、重要なパスとコンセンサスベースのロードマップの提供を加速し、AIコミュニティを支援することを願っています。

控えめに言っても、AIセキュリティに関する提案には何らかの形でアイデンティティに関わるものが膨大にあります。しかし、知的財産権の懸念を心配することなく、利害関係者がこれらの提案やアイデアを自由に議論できる場所は、これまで欠けていました - 今日まで。これを認識し、OpenID Foundation 理事会はOIDFコミュニティグループポリシーに従い、「Artificial Intelligence Identity Management」(AIIM)という名前のコミュニティグループの設立を承認しました。

コミュニティグループとは何か?

OpenID Foundationのワーキンググループ(WG)は、特定の領域の問題に取り組み、仕様書または一連の仕様書や文書の形で成果を提供します。一方、OpenID Foundationのコミュニティグループ(Communiti Group:CG)は、仕様書を作成するのではなく、安全に集まるための場を作ることを明確に目的としています。

エコシステムのギャップ、採用のギャップを特定できる議論を進めるため、または相互に合意されたCG憲章と参加同意書によって全ての議論と成果物が保護されているワーキンググループ間で活動するためです。標準におけるギャップが特定された場合、それらは関連するOIDF WGまたは連携パートナーの標準化団体に持ち込まれます。 

 参加同意書の要件があるため、参加者はOIDFの知的財産によって保護された成果物を自由に議論でき、その成果は全ての人に自由に利用可能となります。AIMコミュニティグループのウェブサイトはこちらで、毎週木曜日の太平洋時間午前9時の通話へのリンクと、新しいAIIM CGの参加同意書もこちらにあります。

AIIM CGの目的

「AIはインターネットの多くの側面に変革をもたらしている...」これがAIIM CGの憲章の冒頭です。 

この変革は、社会的交流、デジタル商取引、金融サービス、そしてより広範な人間とデジタルのインターフェースにまたがっています。しかし、AIシステムが急速に拡大するにつれて、重要な課題が浮上しています。AIとアイデンティティのコミュニティは大部分がサイロ化して発展しています。この断絶は、プライバシー、セキュリティ、相互運用性に関する既知の落とし穴を繰り返すリスクがあり、安全で信頼できるAIの展開を加速できるはずの重要な標準の採用を遅らせる可能性があります。 

私たちは以下のことに取り組みます:

  • 現在標準で対応されていないが、対応が必要であり、アイデンティティコミュニティが注力すべき領域を特定する
  • 用語に関するコンセンサスを得る
  • 主要なプラットフォームベンダーを含む業界の利害関係者と関わる
  • 信頼されたパートナー組織が参照したり、業務に活用したりできる「Agentic AIチャンピオンユースケース」を定義する
  • アイデンティティに影響を与えるAIに関する政府規制を監視する
  • そして、共同議長が作成に取り組むAIホワイトペーパーを作成する 

AIIM CGは、リスペクト、同意によるプライバシー、および相互運用性という中核原則の下で運営され、スケーラブルで包括的、かつ信頼できるAIソリューションをサポートすることを目指します。標準プロトコルを直接開発することはありませんが、OIDF内または連携パートナーシップを通じて将来の標準開発のための不可欠な基盤を築きます。 

AIIM CGの提案者

最初のIdentiverse会議の多くの有識者や、OIDFのAIとアイデンティティホワイトペーパーに取り組んでいる人々は、すでに自主的にこのCG形成を支援するために登録しています。これらの人々は個人の立場で参加や支持を表明しているのであって、その人が所属する会社や組織が公式に支援や関与を約束しているわけではありません。提案者には以下が含まれます(敬称略):

  • Gail Hodges
  • Atul Tulshibagwale
  • George Fletcher
  • Jeff Lombardo
  • Tobin South
  • Naveen CM
  • Aaron Parecki
  • Sean O'Dell
  • Nancy Cam-Winget
  • Mike Kiser
  • Alexandre Babeanu

参加すべき理由

AIとアイデンティティに関するアイデアを議論するための安全な場所が必要なら、ここがその場所です。ここでの開発のペースは猛烈なため、多くのノイズが発生すると予想されます。共同議長として、私たちの仕事は、アイデンティティコミュニティにとって本当に重要なことに焦点を失わないようにすることです。リンクの参加同意書に署名して、AIIM CGに参加してください。 

毎週木曜日の太平洋時間午前9時に行われる定期的な週次通話への参加を皆様に歓迎します。詳細については、AIIMコミュニティグループのホームページをご覧ください。また、AIIM CGのメーリングリストに登録することもでき、貢献者である場合は、アイデアを議論するために投稿することができます。OpenID Slackにも、AIIM CG用のチャンネルがあります。 

素晴らしい議論を楽しみにしています!

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